タイリーク・エバンスの事例からNBAのアンチ・ドーピングを調べてみた。
「Fair Pride」
TOKYO2020の日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の標語です。
近代スポーツを語る上で避けて通れないのが、ドーピングだと思います。
五輪はもちろんのこと各種プロスポーツでもリーグごとに様々な取り組みがなされています。
IND タイリーク・エバンス 2年間の出場停止!
5月17日Indiana Pacersのタイリーク・エバンスに2シーズン出場停止の処分が決定しました。
理由としては禁止薬物使用ということです。
チームも公式に
"We take these matters seriously and will reach out to
Tyreke to offer our support."
「私達はこの件を重く受け止めている。エバンスをサポートしていくつもりだ」
とコメントしています。
今回は処分以外の細かい情報はまだありませんが、
依存性薬物(drug of abuse)の陽性反応が出たようです。
今回はこの事件からNBAのアンチ・ドーピングの取り組みを調べました!
CBA101(NBA/NBA選手会団体交渉協約)
NBAとNBA選手会はCBA101という団体交渉協約を交わしています。
下画像が表紙です。
これには、
Ⅰ. サラリーキャップとそのルール
Ⅱ. Gリーグと2way契約について
Ⅲ. 税金に関して
Ⅳ. FAに関して
Ⅴ. 違法薬物に関して
Ⅵ. その他
という項目で30ページに渡り交渉協約が細かく書かれています。
これによると、
依存性薬物とはアンフェタミン、コカイン、MDMA、LSDなどが含まれています。
報道からは、これらいずれかの陽性反応が出たものと考えられます。
NBAのanti-drug
NBAとNBA選手会は1983年からanti-drugに対して取り組みを行っています。
以下、施行方法と罰則の抜粋です。
選手は1年間のシーズン中に4回、offに2回の抜き打ち尿検査を施行される。
加えて、1年間のシーズン中に2回、offに1回の成長ホルモンの血液検査を施行される。
尿検査では225種類以上の物質に関して検査が行われる。
検査はWADA(World Anti-Doping Agency)認証の最先端施設で施行される。
依存性薬物陽性が判明した場合、選手は最低2年の出場停止が課される。
能力向上物質の場合、1回目は25試合出場停止、2回目は55試合出場停止、
3回目は最低2年間の出場停止処分が課される。
上記を考慮すると、依存性薬物というのは一番重い禁止薬物になることが分かります。
また、禁止されている物質が225種類以上あるというのも驚きです。
様々なサプリメントや病気の治療薬にも禁止物質が含まれることがあります。
体に入るものに対して選手たちは相当気を使うことは有名です。
以前、日本でも他人から禁止物質を摂取させられた事件(パラドーピングといいます)
などがありましたが、同様の事件は世界中で散見されます。
プロリーグにおいて観客を引きつける理由の一つとして
競技の公平性が前提になるため、リーグ側も相当力を入れて取り組んでいる問題です。
NBA初のドーピング事例
では、NBA初のドーピング事例はどのようなものだったか調べました。
時代は1970年代までさかのぼります。
1974年、ドラフト全体25位でHawksに入団した
ジョン・ドリュー(John Drew)が初めての事例のようです。
ドリューはドラフト時の評価は低かったものの、
1年目からフォワードとして活躍し、その評価を覆しました。
結果として1年目はオールルーキー1stチームに選出されました。
2年目にはチームのエースとなりオールスターにも出場しています。
4年目にはチームを5年振りのプレーオフに導く活躍をしました。
82年にドミニク・ウィルキンスとの交渉権と交換でジャズへ移籍しました。
そのシーズン中にコカインの使用が発覚し治療の為、
シーズンの半分近くを欠場しました。
しかし、その翌年には見事復活し、カムバック賞を授賞します。
このまま克服するかと思われた、85年に再度薬物使用が発覚します。
デビット・スターンがコミッショナーとなり、
83年からアンチ・ドーピングに取り組み始めたリーグの中で問題視され、
リーグ初の永久追放となってしまいました。
当然、その後表舞台に戻ることはありませんでした。
近年のドーピング事例
さて、近年の例を見てみましょう。
近年ではO・J・メイヨ、クリス・アンダーセンが禁止薬物で
2年間の出場停止処分となっています。
O・J・メイヨはMEM在籍時の2010-11シーズン中にステロイドの陽性反応が検出され
10試合の出場停止処分を受けています。
その後、 移籍しMIL在籍時の2016年7月に2年間の出場停止処分を受けています。
この際に検出されたのが、エバンス同様依存性薬物でした。
現在、出場停止は明けていますが、問題児でもありNBAでは契約に至っていません。
プエルトリコアトレティコス・デ・サン・ヘルマンというチームに所属しています。
NBA復帰はあるのでしょうか、、、
クリス・アンダーセンは「バードマン(Birdman)」の愛称で有名な選手です。
全身のタトゥーが特徴的で、NBA入団後からもどんどん増えています。
彼はNOH所属中の2005-06シーズン中に依存性薬物の陽性反応で
2年間の出場停止処分を受けました。
2009-2010シーズンにDENに復帰し、控えセンターとして活躍しました。
2012-13シーズン途中からMIAに所属し、初のリーグ制覇を経験しました。
2016年12月に右膝前十字靭帯損傷を負い、解雇されその後復帰はしていません。
彼らの例を見ると出場停止処分が明けて実力があれば、
表舞台に戻ってくることはできるようです。
タイリーク・エバンス (Tyreke Jamir Evans 1989年9月19日生)
現在29歳のエバンスは2009年にメンフィス大からドラフト全体4位でKingsに加入。
2009-10シーズンの新人王に輝いたガードです。
この年の成績は平均20pts、5reb、5astを達成しています。
これは当時史上4人目の快挙でした。↓新人王受賞時
新人王受賞後はやや落ち目になり、移籍を繰り返していました。
昨シーズンはMEMで復活の兆しがありましたが、
今シーズンはINDで少しスタッツも落ち込んだのが原因にあったりするのでしょうか。
今シーズンは69試合で
20.3min, 10.2pts, FG 38.9%, 3P 35.6%, 2.9reb, 2.4astという成績でした。
今までの経緯と年齢を考えると復帰は簡単ではないと思いますが、
果たして彼の今後はどうなるでしょうか。
見守って行きたいと思います。